100均のソーラーセンサーライトの分解(2)

電子工作

前回100均で買ったソーラーセンサーライトを分解しました。そしてソーラーパネルとLEDのパネルを単独のパーツとして取り出しました。

今回は取り出したソーラーパネルなどのパーツがどんなものなのか詳しくみていこうと思います。

ソーラーパネルの測定

前回どの程度の電圧のソーラーパネルなのか簡単に測定しましたがソーラーパネルの発電量と充電池への充電量が気になったので今回は詳しく調べます。

ソーラーパネルは同じ明るさ(照度)でも電圧によって取り出せる電力が変化します。一番効率よく電力を取り出せる電圧での出力を最大出力といいますが、これは無負荷で電圧を測るだけではわからないので負荷を変えながら測定していきます。

まず実験しやすいように長いケーブルを取り付けします。机上で測定しようと思いますがソーラーパネルは窓際の明るい場所に設置したいので長いケーブルがあると作業しやすいです。

写真のように50cmほどの長さのケーブルをハンダで取り付けしました。このソーラーパネルを窓際の明るいところに設置します。

そしてソーラーパネルに負荷を接続し電圧計と電流計もつなぎます。負荷は手持ちにあった1/4Wのカーボン抵抗を使いました。電圧計と電流計はデジタルマルチメーターを使用します。

この状態で負荷である抵抗の値を変えていって電圧と電流の値を記録していきました。実験時の明るさは測っていませんが曇りの日の13時ごろに北向きの部屋の窓際に設置した条件でやっています。晴天時の直射日光と比べると確実に発電量は少ないと思います。しかし実験中の明るさの変化は少ないと思うのでこの条件で行いました。

記録した値は次の表のようになりました。

抵抗値 [Ω]電圧 [V]電流 [mA]電力 [mW]
開放(無限大)2.0600
100,0002.040.0270.05508
10,0002.030.210.4263
1,0001.972.064.0582
4701.914.127.8692
2701.726.6911.5068
1501.5510.816.74
1201.1611.413.224
1101.2210.1512.383
1000.8311.49.462
470.4212.15.082
330.29123.48
200.2110.822.2722
100.0911.81.062
ソーラーパネルの電圧と電流の計測結果

抵抗値13パターンと負荷を繋がない端子開放状態の電圧と電流の測定結果です。電力は電圧と電流の積で計算した値です。これをグラフにプロットしたものがこちらです。

左が電圧と電力のグラフで、右が電圧と電流のグラフです。
電流に着目すると1.5V程度までは約10mAとほぼ一定ですが1.5Vを超えてから下がり始めます。電力も電流が下がるまでは電圧の増加に従って増えていきますが、1.5Vから下がり始めます。グラフを参考にすると1.5Vの電圧時に最大の電力である16.74mWが取り出せるようです。
照度が増えれば電力も増えると思われますが取り出せる電力のカーブは変わらないと思いますのでこのソーラーパネルは1.5Vの電圧になるように負荷を接続すると有効活用できます。
グラフで値が飛んでいるのは110Ωを接続し1.22Vとなったデータです。データの表を見るとわかるように値が飛んでいます。これは使用したカーボン抵抗が誤差+/-5%のものだったので抵抗の誤差による影響が大きかったのだと思います。

LEDの計測

次はLEDパネルを計測していきます。ソーラーセンサーライトに使用されているLEDは基板に8つの白色チップLEDが並べられて1つのパネルとして面で発行するようなイメージになっています。分解し切断したLEDパネルをもとの基板につなぎ直して光らせます。ニッケル水素電池も基板につなぎ人感センサーを反応させるとLEDが点灯しました。そして点灯した時の電圧などを測ります。

測定すると点灯時に順方向電圧は2.68Vで電流は19.77mAでした。
次はこのLEDに10mAから30mAまで流してみてどれくらい明るく光るか見てみようと思います。5Vの電源を用意し、10mAなど意図した電流になるようにいい感じの抵抗も用意します。
今回は50Ωから270Ωの抵抗を使用しました。

点灯させた状態でLEDを直視した感想としては、10mA(8.76mA)では光っているなと思う程度、20mA(23mA)では明るく点灯しているなと感じ、30mA(31.6mA)では眩しいと感じました。ここで好奇心で40mA(42.8mA)を流してみましたが30mAとの差はあまり感じませんでした。(どちらも眩しい) ここでカッコ書きの電流は計算値ではなく実測の値です。

もしこのLEDを再利用するのであれば、省電力性を意識する場合は20mAで、とにかく明るくしたい場合は30mAで使うのがよさそうだと思いました。最大で43mA流しましたが実験中に発熱するようなことはありませんでした。(実はもっと大電流を流せるのかも?)

ちなみにこのライトの充電池の容量は300mAhとなっていて、LEDの駆動電流は約20mAなので公称値のまま単純計算するのであれば15時間は連続点灯できそうです。実際は充電池の容量が劣化により300mAhを下回っていたり、LEDの点灯以外で消費されるロスの分だけ消費電力が増えることでもっと短くなると思います。もっともこのライトは無改造であれば人感センサーが反応してから20秒間だけ点灯なので連続点灯しないため満充電なら電池切れはなさそうです。

充電状態の測定

最後にソーラーパネルの発電分でニッケル水素電池を充電している時にどれくらいの電流かを測定しました。

上記のソーラーパネルの電力実験と同じ条件となる曇りの天気での計測ですが、充電状態にあるときはソーラーパネルの電圧1.53V, 電流6.06mAでニッケル水素電池の電圧は1.28Vで流れ込む電流は4.62mAでした。
もし充電池の残量が空であれば満充電まで65時間かかる計算です。実際にはもっと明るい天気であったり日当たりの良い場所に設置されるでしょうからここまで長くはならず、説明書にあるような8時間程度でそこそこの充電量になると思われます。

おしまい

今回は分解したパーツをひたすら測定するだけでした。ですがこれでパーツの特性がよくわかったのでこれを利用して改造したものを作りやすくなりました。このまま売られていた状態にそのまま戻すことはしないのでどのように改造しようかいろいろと考えています。

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