100均のソーラーセンサーライトの分解

電子工作

ふらっと100均に立ち寄った際におもしろそうなおもちゃを見つけたのでつい買ってしまいました。おもちゃとは「ソーラーセンサーライト」です。500円商品でしたがソーラー発電、充電式のライトということで以前から欲しいと思っていた屋外のライトとして活用できないかと思い購入しました。

ライトの概要

外箱にある商品の説明を読むと、周囲が暗い場合に人の動きを感知すると約20秒点灯するとあります。また、晴天下で6-8時間の充電をしてから設置する、搭載されている充電池は動作確認用のもの、充電してもすぐに暗くなる場合は電池寿命、電池寿命は約1年とめちゃくちゃな仕様のようで逆に興味がわきます。

さっそく分解

それではさっそく分解していきます。まずケースは背面のパネルがネジ4本でとまっているだけなので簡単に開けられます。

背面のパネルを開けると基板と充電池が見えます。

充電池は単3サイズのニッケル水素電池が1本入っていました。基板は電池より一回り大きい程度の小さいものが1つです。基板からソーラーパネルとLEDに伸びている配線が確認できます。

ここで電池の電圧を測ってみました。室内でも明るいところにあったので少し充電された状態だと思います。測ると1.3Vでした。ニッケル水素電池の標準的な電圧でした。

基板を持ち上げてみました。基板の固定はネジ2本でしたので簡単に外れます。ですがネジの近くの斜めの部品が干渉するためドライバーの使用に苦労しました。
基板の表面を見るとスイッチと人感センサーが見えます。また抵抗のような部品も見えます。後で調べたところこの抵抗のような部品はコイル(インダクタ)でした。また、シルク印刷で”TY2105GYD-1″と書いてあります。

充電池について詳しく見てみました。ニッケル水素(Ni-MH)で300mAhとなっています。メーカーは不明です。近くにあったパナソニックのエネループと比べてみましたがエネループは容量が1900mAhなので約1/6程度の容量ということになります。重さも測っていませんが手で持った感じでとても軽く感じます。スカスカな感覚です。ニッケル水素で電圧も変わらないのでエネループに置き換えるだけで夜間の電池持ちが延びるのと、説明書に書いてあった充電池の1年寿命が来ても電池交換で復活する可能性がありそうです。500円のライトをわざわざ電池交換して使う人がいるかは疑問ですが。多くの人はまずケースを開けないですし。

回路を見てみる

回路が気になるので詳しく見ていきます。部品点数は多くなく最小限+単純といった印象です。せっかくなので回路図に起こしてみようと思います。

まず抵抗はR1, R2, RSがあります。R2は未実装なので無視するとして、R1は105表記の1MΩでRSは100表記の10Ωなことがわかります。コンデンサはC1, C2, C3があります。こちらは値が書いてなく測定する装置も持っていないので静電容量は気にしないことにします。おそらく容量は動作にそれほど重要ではないと思いますので。

基板の表にある部品として人感センサー、スイッチ、コイルがあります。人感センサーは型番不明です。簡単には特定できなさそうだったので調べていません。
スイッチは単純なオルタネイト型のプッシュスイッチでした。
コイルは抵抗のような見た目(アキシャルリードタイプ)の部品で、カラーコードは赤、茶、黒、銀でした。値は21uH(マイクロヘンリー)です。誤差は+/- 10%です。

次に半導体パーツを見ていきます。まずわかりやすいのはダイオードD1です。S4と表記があります。これは1N5819というショットキーバリアダイオードだそうです。適当に検索したらAmazonの商品ででてきてそこから型番を見つけて絞り込みました。

次は表記がわかりやすいU3です。65T5と書いてあります。こちらはXC6206というレギュレータです。Tは2.5V出力を表しているようです。(詳しくはホームページ: https://www.torex.co.jp/products/single-type-voltage-regulators/series/?name=xc6206 ) 2.5V出力の3端子レギュレータでした。

Q1はA2SHBと表記されています。調べるとVishayのSI2302というN-Channel MOS FETでした。A2SHBと書いてあるのかわかりにくい怪しい印刷を見るとコピー品の可能性もあるのかもしれません。(vishayのデータシート: https://www.vishay.com/docs/70628/70628.pdf )

最後の1つ、BaaCBと表記されている5ピンのパーツです。こちらはYX8301というソーラーパネル制御機能のついたDC/DCコンバータです。ソーラーパネルと充電池がつながっており充電を制御するようです。中国語ですがデータシートが見つかりました。( http://www.sztssd.com/resource/attachments/2ed4288db1ef448eb80d676d2bb8bdc8_26.pdf ) 機械翻訳を使って読んでみるとソーラーパネルの電圧と充電池の電圧の関係と充電池の動きの説明が見つかります。

データシートの13章を機械翻訳した文章を記します。なんとなくの動きはつかめるかと思います。

  1. 機能説明

X8301 は、1~2 個の 1.2V 充電式バッテリーを備えたソーラー製品をサポートする DC-DC ソーラー光制御ブースト コントローラーです。
充放電およびイネーブル制御:
SOL 端子はソーラーパネルのプラス極、BAT 端子は二次電池のプラス極に接続されており、日中はソーラーパネルが光エネルギーを電気エネルギーに変換し、夜間は二次電池が電源を供給し、LED を駆動します。
内部コンパレータは SOL 端子と BAT 端子の電圧を検出し、SOL の電圧が BAT 端子の電圧の 27% を超えると、チップはシャットダウン状態になり、LED ライトをオフにします。 SOL 電圧が BAT 電圧の 24% を下回ると、チップは通常の動作を再開し、LED をオンにして調光機能を実現します。これにより、日中は LED が自動的にオフになり、日中は自動的にオンになります。夜。 この機能は、SOL から BAT への充電機能には影響しません。
出力電圧と静止電流:
太陽エネルギーが充電されていないとき、回路は通常この時点で昇圧され、定電圧効果を達成します。つまり、SOL<0.24V、VOUT=3.3V、最大負荷容量 Vin=2.4V@300mA、および静的消費電力 IQ=100*3.3/Vin

ソーラー充電時、この時内部昇圧回路はオフとなり、出力電圧はLX端子電圧とほぼ等しくなり、この時の静的消費電力はIQ=16uA、つまりVSOL>0.31V、VOUT=となります。したがって、周辺機器が LED ライト アプリケーションに接続されている場合、入力電圧が LED 導通電圧よりも大きい場合、この時点でも LED ライトはオンのままであるため、適用する際には注意が必要です。

ここまで調べた内容で回路図を起こしてみました。

YX8301でソーラーパネルで発電した電力をバッテリーに充電しつつ、3.3Vに昇圧したものでLEDを駆動。LEDのスイッチの役割をするFET(Q1)は人感センサーでコントロールされる。人感センサー用に3.3Vから2.5VをXC6206で生成といった感じ。

さらに分解

ソーラーパネルとLEDのパネルはケースにノリのようなもので固定されています。いろいろといじって遊びたいので剥がしてみます。
まずはソーラーパネルから剥がします。

パネルの側面からマイナスドライバーをねじ込んで持ち上げると剥がれました。ソーラーパネルは基板の上にガラスか樹脂かでコーティングされたような造りをしているので割ってしまわないように注意しながら作業しました。

このように剥がれました。同様にLEDのパネルも剥がします。ソーラーパネルよりLEDパネルの方が剥がしやすかったです。

基板とソーラーパネルやLEDパネルにつながるケーブルは切断しました。単体でいじっていこうと思うので回路はしばらく使用しません。このとき、ソーラーパネルは発電しているかもしれないのでプラスとマイナスのケーブルを同時にニッパなどで切断しないようにします。金属製のニッパで同時に切断するとショートしてしまうためです。(この程度のソーラーパネルであればショートしても問題ないだろうが)

おしまい

ここまで100均のソーラーセンサーライトを分解してみました。使われている部品を調べたり回路図を起こしたりしました。ソーラーパネルとLEDパネルがバラバラになったので次回は単体で使って何かに応用できないかやってみようと思います。

コメント