何年前かも思い出せないほどずっと前に秋月で購入したアンプモジュールで遊ぼうと思います。当時600円で安売りしていたものでUSB-DACとD級アンプのICが載ったモジュールです。改造をしないと動かせないということで安売りしていたのだと記憶しています。
動かすにあたりモジュール名を検索してみるとこの記事を書いている2023/03/16現在まだ秋月で取り扱いがあり、値段も変わらず600円で売っているようです。(https://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-02404/) 在庫の指数もAAAで154個の在庫となっています。何年も前から販売しているのでまだ在庫があり購入できることに驚きです。
このモジュールのざっくりとした説明としては、USB-DACとしてMICRONAS社のUAC3552Aが載っており、D級アンプのICとしてTRIPATH社のTA1101Bが載っています。
最低限動くようにするための作業として、USBコネクタの取り付けとD級アンプICのTA1101Bのミュート端子を加工することが必要です。加工方法はモジュールに同梱されている秋月の説明書に記載があり、0Ωの抵抗を取り外してから外した箇所と近くの適切なピンをジャンパするそうです。このモジュールに興味を持って買うようなハンダ付けに慣れてそうな人にとってはサクッと終わるレベルの加工ですね。
さて、加工の内容をざっくりと把握したところでモジュールの構成を眺めてみます。まずコネクタ類が実装されている側(表側と考える)にはTA1101Bが載っています。左側にはUSB接続用のコネクタがあり、右側にはアンプの出力の3.5mmステレオミニジャックとR/L独立したコネクタが実装されています。裏面を見てみるとUAC3552Aが載っています。周りにはチップ抵抗とコンデンサがずらっと実装されています。右側を見ると大きなICが2つあります。LTC1735CSと78M05です。
LTC1735CSはスイッチングレギュレーターのICです。なんとこのIC単体が秋月で400円で売られています。(https://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-01668/) これだけでモジュール600円との差額は200円になります。そう考えるとこのモジュールがなおさらお買い得に感じますね。
LTC1735CSのデータシートを読むとスイッチングレギュレータで出力電圧は0.8-6.0Vとなっています。しかしこのモジュールについて解説しているブログ(http://blog.livedoor.jp/ruu_diary/archives/6060236.html) によると12Vへの昇圧として使用しているようです。
もうひとつのICの78M05はSTM製の5V三端子レギュレータです。上記の12Vの昇圧後にUSB-DAC用の5Vを作っているようです。
モジュールへの入力は5Vなので5V->12V->5Vとなんとも無駄そうな変換になっていますね。
さらに基板を良く見ると裏面にAPPLE COMPUTER, INC. (C) 2000の表記があります。Appleの製品に使用される(された?)予定の基板だったようです。
それが秋月で600円とはどういう経路でそうなったか興味がわきます。
基板を見ていろいろと感覚をつかんだところで実際の改造に移ります。まずは動作確認ということでUSBコネクタを取り付けしてPCで認識するか試してみようと思います。
近くにころがっていたてきとうなUSBケーブルを基板の対応する場所に接続しました。秋月の説明書では電源の5Vを外部から供給するようにとの指定がありましたがめんどくさいのでUSBの5Vをそのまま供給してみようと思います。
USBケーブルを接続したのでショートしてないかなどを簡単にチェックしてからPCに接続します。接続対象のPCはWindows7のノートパソコンです。一応デバイスの充電ポートという扱いの1A程度流せそうなUSBポートに挿しました。ところが不明なUSBデバイスとなりデバイスを認識してくれません。
USBを抜き差しするなどしても同じエラーになります。ケーブルの接続が悪いのか、USBの5Vから電源を取っているのが悪いのか原因を特定するのも大変そうだったので外部から電源供給に変更し、USBコネクタも他のものを使用するようにします。
Arduino互換機の三端子レギュレータを使用して5Vを供給し、USBはガラクタ基板についていてUSBコネクタを利用しました。これで再度PCへ接続すると正しくサウンドデバイスとして認識されました。
デバイスマネージャーを見るとSpeakersという名前でデバイスが繋がっていることがわかります。適当な音楽を再生して、再生先をSpeakersに変更することも正しくできました。
消費電流もみてみました。5Vを加えると40mA程度が流れ、USBをPCに接続すると320mA程度が流れます。音声を再生していないので無音時でこの消費電流です。今は基板が無加工ですが、加工してアンプのTA1101Bを有効にするとさらに消費電流が増えるでしょう。なるほど、それでは確かにUSBのバスパワーで駆動するのは推奨されませんね。
この基板無加工の状態ではアンプのTA1101Bがミュートされているとのことですが、USB-DACのUAC3552Aの音声出力は行われています。データーシートを読むとOUTR, OUTLと左右ごとに出力端子があるので信号をオシロスコープで見てみようとしたらUAC3552Aの端子をハンダブリッジさせてしまいました。本来ならばサクッと除去するだけなのですがちょうどハンダ吸い取り線を切らしてしまいました。なのでアンプモジュールで遊ぶのは一度ここまでとします。次回以降で波形を確認できたら基板の改造とアンプICのTA1101Bで遊んでいこうと思います。
(追記) 続きを書きました:
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