車用スマホ充電器が壊れたので分解してみた

電子工作

車でスマホを充電するのに使っていた充電器がある日突然使えなくなってしまいました。
オートバックスのオリジナル品のような充電器で2.4Aの急速充電に対応していたり、リール型で好きな長さで使えたりと重宝していました。たしかセールで少し安くなっているタイミングで購入したのだったと思います。

これはホームページの商品紹介ですが、実際に使えているときは写真のように青色に光っていたのに故障したらスマホも充電できないし光りもしなくなってしまいました。

ホームページの商品紹介: https://shop.autobacs.com/ja/Shop/%E6%B4%97%E8%BB%8A%E3%83%BB%E8%BB%8A%E5%86%85%E5%A4%96%E3%82%B0%E3%83%83%E3%82%BA/%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%9B%E6%90%BA%E5%B8%AF%E7%94%A8%E5%93%81/%E6%90%BA%E5%B8%AF%E9%9B%BB%E8%A9%B1%E5%85%85%E9%9B%BB%E5%99%A8/AQ-2-4A%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%85%85%E9%9B%BB%E5%99%A8C03/p/01533574

「AQ 2.4Aライトニングリール充電器 C03」という商品のようです。

故障した充電器

分解してみた

壊れてしまったのがヒューズであれば簡単に直せそう、中身がどうなっているか少し興味がある、ということで分解してみました。

分解は側面のパーツの合わせの隙間にマイナスドライバーを差し込んでグリグリして行いました。

分解してみるときれいに左右に分かれました。片方には巻き取る機構とケーブルが、もう片方には基板がはまっていました。

リール式で使えるのはこのように回転しても大丈夫なように円形の接点が使われているためでした。でもここに2.4Aが流れると思うと少し頼りない気もします。

基板はこのようになっていました。シガーソケットの設定として先端はコイル状のばねで側面は金属の板バネのようになっていました。

回路の部品は電解コンデンサ2個とコイルが見えます。写真では見切れていますが青色に光るLEDもついてしました。このLEDは3端子で青色以外にも色が変わるようになってしました。

基板の裏面も見てみるために基板を持ち上げてみました。

基板の裏面はこのようになっていました。ICやチップ部品がたくさん使われています。
よく見るとICの1つに焦げた跡があります。故障したのはこの部品のようです。

しっかり焦げているのがわかります。ショートしかか過電圧だったか、いずれにしても車もスマホも故障しなくてよかったです。しかし、隣にF1とシルク印刷されたヒューズがあるのにそれが効いていないということはショートなどの過電流ではなさそうです。過電圧もこの製品は12V車と24V車のどちらにも対応と書いてあるので今回のように12V車で使っていて過電圧になることも考えにくいところです。なぜ壊れたかまではさすがにわかりませんね。

ホームページには入力電圧: DC12V/24Vとあり、ヒューズは内臓の3Aと書いてあります。

さて、回路はICが壊れてしまって簡単には直せなさそうなので諦めるとして、ケーブルやリールの機能は便利なので何かに使えないかとたくらんでいます。

スマホの充電ケーブル部分だけ使えるようにしてみる

まずはケーブル部分だけで動きを確認できるように回路とつながっている線を外します。

外したところです。

基板の5Vの部分は故障していないように見えるので試しに電源をつないでみます。
基板の中央にある12Vと5Vをつないでいると思われる抵抗のようなチップ部品を外します。

USB端子から5Vをとってつないでみました。

予想していた通り青色のLEDが点灯しました。充電していない時は青色に、充電を開始すると赤色に点灯するLEDなのでここまではちゃんと動いているように見えます。

基板の5Vより先はちゃんと動いてそうなので配線を戻して、さらにケースも元に戻していきます。

ケースに戻すとリール式のケーブルも使えるようになります。これで動くと思って5Vを加えてみるとなんとLEDが赤色に点灯してしまいました。充電はしていない状態で赤色なのでなにかがおかしいようです。

そしてこの状態でライトニング端子をiPhoneに接続しても充電されません。簡単にはいかないようです。。

組み立てた状態では使えないのでもう一度バラしました。今度はリール式のケーブルのみで基板を通さずに5Vを加えてみます。

この状態であればしっかりと充電されました。充電の電流も500mAから1Aの間で少し変化しながらちゃんと流れています。

回路で電圧降下が大きく充電されないのかと思い、安定化電源に変更して加える電圧を少しずつ上げてみましたが変化はありませんでした。回路を通すと充電されず、リール式のケーブルに直接だと充電されます。

基板の回路はLEDが青か赤に点灯するくらいしか機能がなさそうなので回路は使わないことにしました。

そしてリール式のケーブルのみを使うことにしましたが、どうやっても1A以下しか流れません。iPhoneのバッテリーはバッテリー残量が少ない方が多く電流が流れるはずなので予想としてはこの充電器の説明にある最大2.4A近い電流が流れると思っていました。

iPhone5で充電できるかの動作確認をしていましたが、電流が上がらないのは機種が古いせいかと思いより新しいiPhone12を接続してみましたが1A以下しか流れない挙動は変わらずでした。

ネットで調べてみるとiPhoneではUSB Type-Aの端子では1A程度しか流れないようです。iPhoneでより多くの電流を流すには高速充電に対応した比較的新しい機種とUSB Type-C接続のケーブルが必要とのことでした。

このケーブルで2.4A流れるのはiPhoneではなくiPadを接続した場合になるようです。いままでiPhoneもこの充電器であれば2.4Aに近い電流で充電されていると思っていました。商品の説明だけ読んでiPhoneの仕様を知らないとそう思ってしまいますね。

今回は故障した車用のiPhone充電器を分解してリールの部分とライトニング端子はそのまま利用できることがわかり、分解したことでiPhoneの充電の動きについても少し勉強になりました。

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