3Dプリンタの静音化

ロボット

3Dプリンタについて

i3 Mega-S

普段からいろいろなものを作るのに3Dプリンタを使っています。私が使っているのはAnycubicのi3 MEGA-Sという機種です。

我が家の3Dプリンタ, Anycubic i3 Mega-S

2022年の1月に24000円ほどで購入しました。購入してからPLAを使ったプリントしかしていませんが、いろいろなものを作りました。しかしこの3Dプリンタ、プリント中は爆音で夜に動かすことをためらってしまうほどでした。購入してから何も改造せず標準のまま我慢して使っていましたがさすがに我慢ができなくなり静音化にチャレンジすることにしました。

現在の騒音レベルのチェック

静音化させるにあたり、まずは現在の状態でどれほどうるさいのか調べてみます。

比較のため3Dプリンタが動いていない部屋の騒音をスマホのアプリを使用して簡易的に測定してみました。スマホはiPhone 12 miniでDecibel Xというアプリを使用しました。

測定環境. 3Dプリンタの最前面から20cmくらい離してスマホを置いて計測した
3Dプリンタが動いていない時の部屋の騒音レベル

3Dプリンタの動いていない、普段過ごしている部屋で日中に15分ほど計測しました。結果は平均が43.7dBで最大が73.3dBでした。最大は椅子を引いたときの音などで大きく反応していたようでした。タイピングをしてキーボード音でうるさい時間も結構ありましたが平均は約43dBと比較的静かな結果だと思います。

参考までに、東京環境観測センターのホームページでは騒音の大きさの目安として40dBが深夜の市内, 図書館で50dBが静かな事務所, 60dBが静かな乗用車や普通の会話と紹介されていました。https://www.toukansoku.co.jp/products/souonn7.html

次に3Dプリンタ動作時の騒音を計測してみました。

3Dプリンタ動作中の騒音レベル

X, Y, Zの全ての軸が動いていない状態で計測して平均が66.9dBで最大が75.9dBでした。ファンの音が耳障りです。前述の指標では70dBは掃除機のレベルということでうるさく感じるのも納得です。

静音化加工

今回行う静音化

i3 Megaの騒音についてはウェブでも多くの人が気にしており、静音化の情報も多く見つかりました。今回はその中でも特にうるさいファンとのことでヒートエンドの冷却ファンを交換しようと思います。

交換対象の40mmファン

画像の赤枠の位置に40mmのファンがあり、それが大きな音を出しているそうです。

交換するファンは同じ大きさで静音動作を謳っているものにしました。AINEXのものでAmazonで約800円で購入しました。サイズと電圧は変えられないので12V動作, 40mm角で10mm厚のものから選定し、回転数4000rpmと最大風量4.81CFMは変更前がわからなかったので適当に選択しました。ノイズレベルは12.3dBと記載がありますが数値では交換後のうるささはよくイメージできません。

交換対象として購入したファン

ファンの交換

交換用のファンを購入したので購入時から付いているファンを外していきます。

まずは作業前に電源をオフにしてコンセントからも抜いておきます。安全のためにも確実に。そしてヒートエンドの後側のネジ4本のうち下にある2本を外します。ヒートベッドと近いと作業しにくいので、作業前に電源オンにしてZ軸を上方向に移動しておくと作業しやすいと思います。次に上面の手前2本のネジを外します。ネジは全てM3のようなので対角2.5mmの六角レンチなどを使用します。これでヒートエンドの周りを囲っているコの字型の部品が外せます。

外すネジ

外したコの字の部品に40mmファンが付いているので固定しているネジ4本を外してファンを取り外します。反対側についているファンはプリントした直後の熱いフィラメントを冷却するファンなので今回はなにもしません。ファンはネジで固定されていますが、電源がコネクタで接続されているためコネクタも外します。2ピンのJST PHコネクタのようです。赤い樹脂のようなものでコーティングが付着していて外すのに苦労しました。

コの字の部品を外したところ

外したファンを別のファンに交換するために付け替えます。今回はコネクタを再利用しようと思うので外したファンのコネクタを切ります。購入した交換対象のファンは3線タイプだったので使用しない白い線を切り、残りの赤と黒の線を外したコネクタにつけます。ハンダを使用して接続しました。

交換前後のファンの比較

ここでファンが2つとも3Dプリンタから外れた状態になったのでファンだけで動作音の比較をしてみようと思います。定格の12Vをかけて10cm離れた位置にスマホを置いて計測しました。

今回購入したファン
購入時に付いていたファン

結果は購入時に付いていたファンが59dBで、今回購入したファンが38dBでした。順番に動かすと購入したファンは動いているのがわからないほど静かです。ですが手で感じる風量はやや少ないと感じました。購入時のファンより風量が少なくなってしまうのは心配ですが、このまま交換しようと思います。ちなみに消費電流は購入時に付いていたファンが62mAで、今回購入したファンが92mAでした。今回購入したファンは定格が1.2Wなので理論値100mAに近く妥当な数値ですが、購入時に付いていたファンはファンに0.20Aと記載があるので理論値200mAの約1/3となる62mAでちょっと気になりました。そのくせ風量は多いし。

コネクタを付け替えたファンを外した時と逆の手順で取り付けます。ファンのケーブルが長いとヒートエンドの高温部分に触れてしまうのでケーブルの取り回しに気をつけるようにします。

静音化の結果

ファンを交換して3Dプリンタを動作させ騒音レベルを計測してみました。

ファン交換後の3Dプリンタ動作音

結果は平均48.1dBと交換前の66.9dBから18.8dBも静音化に成功しました。ファン交換前はヒートエンドの温度が上昇して40mmファンが回り始めるとすぐにわかるレベルでうるさかったのが、交換後は気づいたら回っているくらいになりました。

ファン交換だけでかなりの静音化をすることができ、費用もファンの800円だけととても安価に実施することができるので3Dプリンタの騒音に悩んでいる方にはおすすめのカスタムです。

ファンが静かになった分次はモータの駆動音が気になるようになったので気が向いたら対策するかもしれません。

コメント