3Dプリンタでポンプを作る

ロボット

ポンプを作りたくなった

3Dプリンタで何か作りたいなと思っている時にポンプを作ろうと思いつきました。ポンプのイメージは水の中でファンのようなものが動いていて、3Dプリンタならば面白い形状のものが設計できるのではないかと考えました。またポンプがどう動いているのか実物を解体して見たことも無ければどう動くかの原理も知らなかったので純粋に好奇心で作ってみたいとも思いました。

ポンプについて調べてみる

そこでまずはポンプとはどんなものか調べてみました。

ポンプにはいくつも種類があり大別すると容積ポンプと非容積ポンプとその他の3種類に分けられるみたいです。

大雑把なポンプの分類

容積ポンプとは一定の容積をもつもので、手押しの井戸ポンプのような往復運動で動くものやギヤポンプと呼ばれるポンプに代表される回転運動で動くものがあります。

非容積ポンプとは容積の変化を用いずに駆動するポンプで、水の中でプロペラを回転させてその遠心力で水を移動させるターボポンプなどがあります。

また、上記の分類以外で特殊な仕組みで駆動するポンプもあります。

作成するポンプの検討

今回作成するポンプについて検討します。

高い精度で加工する技術がないので、シンプルな仕組みで多少大雑把でも動くものを作ろうと思います。

簡単にポンプの種類を調べた結果、渦巻きポンプというものが簡単に作れそうだと感じたので、それを作ってみようと思います。仕組みは簡単そうで、カタツムリのようなケースの中でプロペラを回転させることで中央から水を吸い込み遠心力で外側から吐き出すようです。

渦巻きポンプのイメージ

プロペラとケースを3Dプリンタで作成して、適当なモータを取り付けてプロペラを回転させるだけで動きそうだと見込みをつけました。

ポンプの設計

設計

まずは今回作ることにした渦巻きポンプについて詳しく調べます。

渦巻きポンプは大雑把には回転するプロペラ(羽根車やインペラと呼ぶらしい)とその周りのケース(ケーシングや渦巻き室とも呼ばれる)の2つがあればよさそうです。

インペラは回転する方向に対して後ろ向きの羽根がつくのが一般的らしく調べるとほとんどがこの形状でした。効率などを計算するとこの形状が優秀なのかもしれません。

ケーシングはインペラで360度の方向に遠心力で加速した液体を吐き出し口の一箇所に集めるために渦巻きのような形状をしています。インボリュート曲線のような吐き出し口に近づくにつれて徐々に大きくなる形状が一般的のようです。

難しい流体の計算やシミュレーションは抜きにして、よく見かける形状、かつ簡単にできそうなものを作って試運転してみたいと思います。

3D CADを使ってモデリング

3Dプリンタで作成しようと思っているので3D CADを用いてモデリングします。3D CADは使い慣れているAutodeskのFusion 360を使います。

インペラ

まずはインペラをモデリングします。小さいモータで実験できそうという理由で直径は40mmにします。動かすことが最優先で効率などは気にしないのでインペラの形状はシンプルに直線状の羽根にし、枚数もてきとうに4枚羽根とします。羽根の高さもてきとうに6mmとしてみました。

てきとうに作ったインペラ

ケーシング

ケーシングはインペラが収まるサイズで、かつインボリュート曲線のような形状になるよう作りました。

インボリュート部分のモデリング

インボリュート曲線のような形状は上の図のように円を12等分するように放射状に12本の線を引き、その上に点を打ってスプライン曲線で補間しました。見た目にはかなりいい感じの曲線に見えます。円の中心から点までの距離は\(r + \frac{D n}{12}\)とします。ここで\(r\)は基準円の半径, \(D\)は最終的に欲しい幅, \(n\)は点の番号( \(1 \leq n \leq 12\) )です。

ケーシングは壁と一体の下側と、蓋のようになる上側の2パーツ構成としました。この2パーツでインペラをはさみこむ構成になります。

3Dプリンタを使って製作

3D CADでモデリングしたデータを3Dプリンタを使って作成します。ケーシングの2パーツとインペラをプリントして2時間程度でした。

プリントしたインペラ(左)とケーシング(中央と右)

組み立ては3Dプリンタで作成した部品をグルーガンをつかって接着し、その他パーツを取り付けました。グルーガンは接着としての役割と水が隙間から漏れないようにシールする役割を期待して使いました。他に使った部品は直径3mmのアルミのシャフトと透明チューブです。どちらもホームセンターで購入しました。最後に適当にころがっていたモータを取り付けました。

直径3mmのアルミ棒を60mmくらいに切断して使用
アルミ棒はインペラに接続する側をDカットして取り付けました
組み立て完成のポンプ

動作確認

容器に水をはってポンプの動作確認をします。実験にちょうどよさそうなタッパを100均で購入して使いました。モーターを電源につないで動かすとそれなりに水が出てきます。ポンプの動作としては成功するものを作れたといったところでしょうか。軸が上から出るように設置すると底から水を吸い込むようになっているため動かすときには少し浮かせて水を吸い込む隙間を確保する必要がありました。

10秒程度長めに動かしているとモーターが少しだけ熱をもって匂うようになってきました。詳細不明の手元にあったモーターですが、おそらく定格1.5Vのモーターに2.4Vを加えて動かしているためかもしれません。2.4Vなのは手元にあったEneloopが1本だと1.2Vで不足するため2本にして2.4Vにしているためです。また、ポンプを回転させるモーターがどれくらいの負担なのか知らなかったので減速機なしでダイレクトに接続していますが、トルクが不足している印象がありました。ギア1段分くらいの減速をしてつかうともっとポンプの出力が上がるかもしれません。

実験の様子

ひとまず動くポンプが作れたので満足しました。今後はもっと性能の良い、しっかりとした設計のものを作りたいです。気が向いたらチャレンジするかもしれません。

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